こんにちは、やまかずです。
編み物をしていると、「本に載っている模様をそのまま編むだけじゃなく、自分で図案を作ってみたい」と思う瞬間があります。
僕はプログラマーなので、編み込み模様を見るとつい「これはドット絵だな」と考えます。1目を1マスとして扱えば、編み図はピクセルアートと同じグリッド構造です。だから、専用ソフトをいきなり買わなくても、スプレッドシートやドット絵ツールでかなり実用的な図案を作れます。
この記事では、プログラマー思考で「実際に編める」オリジナル編み込み模様を作る流れをまとめます。単なるアイデア出しではなく、ゲージ、目数、裏糸の渡りまで含めて考えるのがポイントです。
編み図とドット絵は、どちらもグリッドで考えられる
編み込み模様の基本は、横方向の「目」と縦方向の「段」です。これを表にすると、横の目数が列、縦の段数が行になります。
つまり、考え方としてはこうです。
- 1目 = 1マス
- 1段 = 1行
- 色替え = ドットの色替え
- 模様全体 = ピクセルアート
この見方をすると、編み図作成は一気に扱いやすくなります。Excel、Googleスプレッドシート、方眼ノート、ドット絵ツールのどれでも構いません。Asepriteは有名なドット絵ツールですが基本的には有料なので、まず試すならスプレッドシートや無料のドット絵ツールからで十分です。
まずは「編みたいサイズ」から逆算する
最初に決めるのは、絵柄そのものではなく、模様を入れる場所のサイズです。ここを飛ばすと、かわいい図案ができても実物に入らない、ということが起きます。
確認する順番は次の通りです。
- 使う糸と針を決める
- 小さな試し編みをしてゲージを確認する
- 模様を入れたい横幅と高さを決める
- 横の目数と縦の段数に変換する
たとえば10cmで20目、10cmで28段のゲージなら、横15cmの模様はおおよそ30目になります。高さ10cmなら28段です。この場合、スプレッドシートでは横30列、縦28行のキャンバスを作ります。
ここで大事なのは、編み目は完全な正方形ではないことです。画面上で正方形のドット絵として作った図案は、実際に編むと縦横比が少し変わることがあります。細かい絵柄ほど、ゲージに合わせて縦横を調整したほうがきれいに出ます。
図案作りは「少ない色」から始める
最初の図案は2色がおすすめです。背景色と模様色の2色だけにすると、編むときの判断がかなり楽になります。
3色以上にすると表現力は上がりますが、同じ段の中で扱う糸が増え、裏側の糸始末も難しくなります。はじめてオリジナル図案を作るなら、まずは2色で形を作り、慣れてから差し色を足すくらいが安全です。
プログラミングでいうと、いきなり複雑な仕様にせず、最小構成で動くものを作ってから拡張する感覚です。
実際に編める図案にするためのチェックポイント
ドット絵として見栄えがよくても、編み込み模様としては編みにくい図案があります。特に注意したいのは、裏糸の渡りです。
同じ色が長く続くと、使っていない糸が裏側で長く渡ります。長すぎる渡り糸は指に引っかかりやすく、表の編み地もつれやすくなります。目安として、4目から5目以上続く場所では、途中で糸をからめるか、模様を少し調整することを考えます。
チェックするときは、次の観点で見ます。
- 同じ色が長く横に続きすぎていないか
- 1段の中で色替えが多すぎないか
- 細すぎる線や点が、編み地で潰れないか
- 左右反転や上下反転が必要な作品ではないか
- 模様の端が中途半端に切れていないか
このチェックは、コードレビューにかなり近いです。見た目だけでなく、実行時に破綻しないかを見る。編み物の場合の「実行時」は、実際に針を動かす瞬間です。
著作権まわりは「写す」より「考え方を借りる」
手芸本や販売パターンに載っている編み図は、そのまま転載したり、図案データとして配布したりしないほうが安全です。作品販売の可否も、書籍や作家ごとに条件が違います。
ただし、グリッドで考える、左右対称にする、余白を作る、色数を抑える、といった「作り方の考え方」は自分の図案作りに活かせます。既存の作品を丸写しするのではなく、自分でモチーフを決め、目数に合わせて再設計するのがいちばん気持ちよく使える方法です。
スターター道具は、まず「試せる量」で十分
オリジナル図案を試す段階では、いきなり高級糸を大量に買う必要はありません。まずは発色が見やすく、ほどいて編み直しやすい糸で小さく試すのが向いています。
試し編み用の並太毛糸
ドット絵風の模様を確認するなら、色の差がはっきりした並太糸が扱いやすいです。まずは小物サイズで、模様が潰れないか、裏糸が長くなりすぎないかを試します。
価格や在庫は変動します。購入前にAmazonの商品ページで最新情報を確認してください。
長く使うなら棒針セット
糸の太さを変えながら試すなら、複数サイズの棒針セットがあると便利です。最初から全部を使いこなす必要はありませんが、ゲージ調整の選択肢が増えます。
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この2つは「買えば完成」ではなく、試作環境を作るための道具です。図案がまだ固まっていない段階では、毛糸も針も小さく試してから本番用を選ぶほうが失敗しにくいです。
スプレッドシートで作る簡単な手順
最後に、いちばん手軽なスプレッドシートでの作り方をまとめます。
- 列幅と行の高さを調整して、マス目を方眼に近づける
- 横の目数、縦の段数に合わせて範囲を作る
- 背景色をベース色で塗る
- 模様にしたいマスだけ別色で塗る
- 同じ色が長く続く場所をチェックする
- 小さな試し編みで、縦横比と見え方を確認する
最初から完成度の高い図案を狙うより、8目×8段、16目×16段くらいの小さな模様で試すのがおすすめです。小さく作って、小さく失敗して、少しずつ大きくする。これは編み物でもプログラミングでも同じです。
まとめ:編み図は「実行できるドット絵」として考える
編み図をドット絵として見ると、オリジナル模様作りはぐっと身近になります。ただし、画面上できれいな図案と、実際に編みやすい図案は同じではありません。
ゲージを確認し、目数と段数に落とし込み、裏糸の渡りを見ながら調整する。そこまで含めて設計すると、自分だけの模様が「ちゃんと編める図案」になります。
プログラマー的に言うなら、編み図は仕様書であり、編み地は実行結果です。画面のマス目で考えたものが、手の中で布になる。この変換が、編み物のいちばん面白いところだと思います。