2026年8月11日、Xbox CEOのアシャ・シャルマ氏が「開発中の『The Elder Scrolls VI(エルダースクロールズ6)』のライブプレイスルーを見た」とSNSに投稿しました。TES6は2018年のティザー公開以来、目立った情報がほとんど出ないまま8年が過ぎています。その”沈黙のRPG”が、社内向けとはいえ、ついに動く形で人目に触れたことになります。
前作『The Elder Scrolls V: Skyrim』の発売が2011年。あれから15年です。この節目に、いま確実に分かっていることを整理しつつ、Skyrimというゲームが自分にとって何だったのかを振り返っておきたいと思います。しかも折よく、Steamでは「Bethesda 40周年セール」が開催中(8月13日まで)。ただ待つだけだった時間が、少しだけ動き出した気がしています。
※2018年に公開されたティザートレーラー。現時点で唯一の一般公開映像です。
今回、事実として確認できること
まず、今回のニュースで実際に分かっていることを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発言者 | Xbox CEO アシャ・シャルマ氏 |
| 発言内容 | TES6のスケールと壮大さを”incredible(信じられない)”と評価。ストーリーはその巨大なスケールを”上回る”とも称賛 |
| サブタイトルの示唆 | 投稿に8個のアスタリスク(********)が含まれており、サブタイトルの存在を示唆 |
| 視聴形態 | 実機のハンズオンか、録画済み映像のプレゼンかは不明 |
| 一般公開の映像 | 今回はなし(ゲームプレイ映像・トレーラーの公開はまだ) |
今回のニュースは「一般に見られる映像が公開された」わけではなく、あくまで”CEOが社内デモを見た”という段階の話です。ここを混同すると誤解のもとになります。
なお、このタイミングでは別の動きも報じられています。Bethesdaでは大規模な人員削減が進んでおり(すでに1,600人が解雇され、年内にさらに1,600人が対象になる見通しと報じられています)、シャルマ氏の訪問に合わせて、開発者らが本社前で巨大な風船ネズミを掲げて抗議する一幕もあったとのことです。華やかな続報の裏で、開発チームが厳しい状況に置かれているのも事実のようです。
Skyrimと比べて見えてくる3つのポイント
1. エンジンの世代交代――Creation EngineからCreation Engine 3へ
2026年7月下旬、Bethesdaのトッド・ハワード氏は、TES6とFallout 5がともに、Starfieldで使われたCreation Engine 2ではなく、新しい「Creation Engine 3」を採用すると明かしました。ハワード氏によれば、Creation Engine 3は社内で徹底的にテストできる安定したビルドを作れるエンジンだといいます。
ここが、Skyrimファンには気になる比較点です。
- Skyrim(2011年)が動いていたのは、初代Creation Engine。
- そこから数えて、TES6は複数世代ぶんの進化を経たエンジンで作られることになります。
- なお『Oblivion Remastered』はBethesdaとVirtuosがUnreal Engine 5で制作しましたが、ハワード氏はTES6についてはあえて自社のCreation Engine 3を選び、「自分たちの管理下で作れる」ことを重視したと語っています。
「なぜ今さら自社エンジンなのか、Unreal Engine 5ではダメなのか」という長年の議論に、Bethesdaなりの答えを出した形です。SkyrimやFallout 4の時代、あのエンジン特有のバグに苦笑いさせられた記憶がある人も多いのではないでしょうか。(私はバグすらも愛した唯一のゲームです。)
2. マルチプラットフォーム展開はどうなる――2011年のSkyrimとの決定的な違い
Skyrimは2011年、PS3・Xbox 360・PCのマルチプラットフォームで発売され、その後あらゆる機種に移植されて”伝説”になりました。自分もPS3→PS4→PSVR→Switch→Steamと、気づけば5機種分を買い集めていた口です。
一方、TES6は現時点でXboxとPC以外への展開が確約されていません。
- アシャ・シャルマ氏のCEO就任後、Xboxは一部タイトルを”Xbox専用(コンソール独占)”にする方針にあらためて力を入れています。
- 実際、『Clockwork Revolution』や『Gears of War: E-Day』はXboxコンソール独占です。
- ただし『Halo: Campaign Evolved』はPS5にも同日発売されており、方針は一枚岩ではありません。
- BethesdaはTES6をMicrosoftのエコシステム外に出すかどうか、正式には明言していません。
「誰でも遊べたSkyrim」と「独占が絡むかもしれないTES6」。この対比は、5機種で渡り歩いてきた自分にとっては、わりと切実な話でもあります。
3. “8個のアスタリスク”というサブタイトルの謎
Skyrim、Oblivion、Morrowind――シリーズはずっと、地名や概念を使ったサブタイトルで語られてきました。今回のシャルマ氏の投稿にあった8個のアスタリスクが、もし本当にサブタイトルの文字数だとしたら、という話でファンの間が盛り上がっています。
海外メディアの考察で有力視されているのが「Sentinel(センチネル、8文字)」説です。TES6は開発初期、社内で”Project Guardian(プロジェクト・ガーディアン)”と呼ばれていたとされ、Sentinelは「守護者」を意味する単語でもあるため、コードネームとの意味的なつながりが指摘されています。長年のファン予想として根強い「Hammerfell」は9文字で、8個のアスタリスクとは合いません。ほかに「High Rock(8文字)」を挙げる声もありますが、こちらは説得力が薄いという見方が優勢です。
※あくまでファンの推測の域を出ない話です。正式なタイトルが発表されるまでは、話のタネとして楽しむくらいがちょうどよさそうです。
いま拾い時――Bethesda 40周年セール(Steam・8月13日まで)
TES6の続報と同じタイミングで、Steamでは「Bethesda 40周年記念セール」が開催中です。TES6を待つ身にはちょうどいい”予習・復習”の機会になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 内容 | Bethesda創業40周年を記念したセール。最大75%(一部80%)オフ |
| 終了 | 8月13日(米時間基準)。id SoftwareのQuakeCon(30周年)の会期と重なる形 |
| 対象シリーズ | Elder Scrolls系(Skyrim Special Edition/Anniversary Edition/Skyrim VR、Oblivion GOTY、Morrowind GOTY、Oblivion Remastered、ESOなど)、Fallout、Doom、Quakeなど |
目玉は、シリーズの原点である『The Elder Scrolls: Arena』と『The Elder Scrolls II: Daggerfall』です。この2本を含む以下の4本が、期間中Steamで無料で恒久的に受け取れます。一度ライブラリに追加すれば、あとはいつでもダウンロードして遊べます。
- The Elder Scrolls: Arena(シリーズ第1作)
- The Elder Scrolls II: Daggerfall
- Wolfenstein: Enemy Territory
- Quake Champions
「TES6を待ちながら、シリーズの原点(Arena・Daggerfall)をタダで手元に置ける」。Skyrimerとしては、これはぜひおすすめしたいです。
※このセールは8月13日までです。この記事をそれより後にお読みの場合は、すでに終了している可能性があります。
番外:Skyrimを”食べる”――公式レシピ本と、日本の材料で作る連動企画
TES6を待つ楽しみ方は、遊ぶ・拾うだけではありません。タムリエルの料理を実際に作ってみる、という手もあります。実はSkyrimの公式レシピ本、発売してすぐに購入していました。ただ、恥ずかしながらまだ一度も作っていません。この記事をきっかけに、近々実際に作ってみようと思っています。
日本語版のタイトルは『The Elder Scrolls オフィシャル・クックブック』(G-NOVELS、誠文堂新光社)。著者はチェルシー・モンロー=キャセル氏、訳は江原健氏です。Skyrimだけでなく、MorrowindやOblivionなど、タムリエル各地の料理70種類以上が収録されており、スイート・ロールやノルドのハチミツ酒など、作中でおなじみの料理が実際に作れるレシピ本になっています。
「当ててやろうか、誰かにスイート・ロールを盗まれたかな?」――衛兵のあの軽口を思い出さずにはいられません。
ただし、掲載レシピは材料が日本ではそのまま揃わないものが多いのが実情です。そこで本記事の連動企画として、「なるべく日本で入手できる材料に置き換えたレシピ」を、後日あらためて公開する予定です。この記事はその”予告編”も兼ねています。TES6の続報を追いつつ、シリーズの原点を無料で入手し、タムリエル飯を自作する――「待つ時間の楽しみ方」を3段構えで締めくくれたらと思います。
チェルシー・モンロー=キャセル 著/江原健 訳。Skyrim・Morrowind等タムリエル各地の料理70種以上を収録。価格・在庫は変動するためリンク先で確認してください。
▶ Amazonで詳細を見る(単行本)
単行本のほか、Kindle版も配信されています。電子書籍で手軽に読みたい場合はそちらも選択肢になります。連動レシピ記事が公開できたら、この節に内部リンクを追加する予定です。
個人的な話:Skyrimは自分にとって何だったか
自分はSkyrimを、PS3版・PS4版・PSVR版・Switch版・Steam版と、気づけば全部揃えてしまっている口です。所有しているゲームの中でも、総プレイ時間は断トツの1位。今でも、ふと思い立ってはタムリエルを散歩しています。
ヘルゲンで最初のドラゴンに遭遇したときの衝撃は、Skyrimを遊んだ人なら誰しも覚えているのではないでしょうか。あの一本道の導入から解き放たれて、どこへでも歩いていける自由度に触れた瞬間、完全にこのゲームの虜になりました。移植のたびに買い直したのも、単に”また遊びたい”というより、そのハードでもう一度あの自由さを味わい直したかったからだと思います。Oblivionもオリジナル・リメイクの両方をプレイ済みで、過去作もセールのたびに買い足してきました。自認は、もう完全に”Skyrimer”です。
2011年、あの実写プロモーションも今見ると最高だった
発売当時の思い出といえば、実写版のプロモーション映像も忘れられません。ドラゴンの恐怖に立ち向かう人々を描いた、ゲームのCMとは思えないほど本格的な作りで、当時は何度も見返していました。15年経った今見返しても、Skyrimという作品のスケール感がしっかり伝わってくる映像です。
VRは酔って断念したけど、酔わない人がうらやましい
全機種買い集めた中には、PSVR版も含まれています。実際にヘッドセットを被ってタムリエルに降り立った瞬間の感動は今でも覚えていますが、自分はVR酔いする体質だったようで、長時間は遊べずに断念してしまいました。酔わない体質の方が正直うらやましいです。もしVR酔いをしない・酔いにくいタイプであれば、Skyrimはぜひ一度VR版で体験してみてほしいです。剣を自分の手で振る、弓を引き絞る、暗い洞窟で松明を掲げる――画面越しでは味わえない没入感があります。
バニラの沼はまだ終わらない――MODという”その先”
Steam版を持っている強みは、なんといってもMODです。Skyrimは発売から15年経った今も、Nexus Modsを中心に膨大な数のMODが作られ続けています。グラフィックを現代水準まで引き上げるもの、新しいクエストやエリアを追加するもの、コンパニオンを増やすもの――遊び方はほぼ無限です。……とはいえ正直に告白すると、自分はいまだに無改造のバニラ版をひたすら遊んでいる途中で、MODの沼にはまだ足を踏み入れられていません。もしかしたら一生バニラのまま満足して終わるかもしれませんが、それもまたSkyrimの懐の深さだと思っています。バニラをやり尽くしたと感じたら、次はMODでいくらでも新しいタムリエルに出会えます。
世界観はハリーポッターにも引けを取らない
Skyrim、というより『The Elder Scrolls』シリーズ全体の世界観の作り込みは、ハリーポッターシリーズに全く引けを取らないと思っています。複数の種族それぞれに歴史があり、神々の系譜があり、内戦の政治的背景があり、本棚に並ぶ一冊一冊の本にまで独自の物語が書かれています。ゲームを遊ぶだけでなく、ロア(世界設定)を調べ始めると、それだけで何十時間も溶けていく沼です。
愛すべき”伝説のバグ”たち
Skyrimを語るうえで外せないのが、数々の”伝説のバグ”です。なかでも有名なのが、巨人(Giant)に殴られると体が空高く吹っ飛んでいくバグ。あまりにファンに愛されすぎて、開発側が一度修正しようとしたところ猛烈な抗議を受け、元に戻したという逸話まで残っています。ほかにも、マンモスが理由もなく宙に浮かんで漂ったり、巨人がドラゴンの背中に乗って空を飛んでいたりと、狙って作れないようなシュールな光景に出会うこともしばしばです。初見でこうしたバグに一度も遭遇せずクリアできたら、それはそれで逆にすごいことだと思います。バグも含めて、Skyrimというゲームの味です。
誰もが口ずさむ名セリフとミーム

ミームの多さもSkyrimの大きな特徴です。衛兵が語りかけてくる「昔は俺もお前のような冒険者だったが、膝に矢を受けてしまってな」は、2011年の発売直後からまたたく間に広まり、日本でも「〇〇だったが、膝に矢を受けてしまってな」という改変ネタとして定着した、シリーズを代表する名セリフです。ドラゴンの叫び(シャウト)「フス・ロ・ダ(FUS RO DAH)」も、発売前トレーラーの時点でネットミーム化し、以降NPCを崖から吹き飛ばす動画が数え切れないほど作られました。ノルド人NPCが誇らしげに叫ぶ「Skyrim belongs to the Nords!(スカイリムはノルドのものだ!)」も、内戦クエストを進めると何度も耳にすることになる定番のセリフです。
やったことがない人へ、この夏休みの子供たちへ
もしまだSkyrimをプレイしたことがない方がいたら、ぜひ一度触れてみてほしいです。15年前のゲームとは思えないほど、今なお色褪せない自由度と没入感があります。特に、この夏休み中の少年少女たちには強くおすすめしたいです。(中2の君は絶対にやれ)あの重厚なストーリーとどこまでも広がる世界を、まとまった時間で心ゆくまで遊べるのは、夏休みという時間を持つ子供の特権だと思います。大人になるとなかなかそうもいきません。正直、羨ましい限りです。
5機種を渡り歩いてきた自分が、TES6に今の時点でいちばん期待しているのは、単純に「また何百時間も迷い込める世界」が来ることです。独占の行方やエンジンの世代交代など、気になる要素はいろいろありますが、結局のところ知りたいのはそこに尽きます。
まとめ
8月11日に出たのは、「CEOが社内でTES6の動作を見た」という一次情報です。映像が公開されたわけではありません。分かったのは、”スケールが凄い”、”ストーリーがそれを上回る”、”サブタイトルがありそう”という、方向性レベルの話にとどまります。発売時期もまだ先で、以前の情報では「少なくともあと2年」という観測も出ていました。
それでも、Skyrimから15年を経て、次のタムリエルが確かに”動いている”ことは確認できました。今なら、シリーズの原点を無料で手元に置いて”予習”することもできます(8月13日まで)。さらに、公式レシピ本片手にタムリエル飯を作ってみる楽しみ方も。待つ時間の使い方としては、これ以上ないのではないかと思います。