窓辺で円すい形のドリッパーからガラスのサーバーに落ちるコーヒー

4:6メソッドで淹れると、なぜ深煎りのほうが甘く感じるのか|無印「ダークテイスト」を例に理由と淹れ方を整理

「やっぱり、ダークテイストが甘い」。無印良品のコーヒーで、迷ったときの一杯として勧められているのは「ミディアムテイスト」です。甘い香りと苦味・酸味のバランスが持ち味で、普段飲む豆として繰り返し買う人もいます。

一方で、4:6メソッドで淹れて私が「甘いな」と思うのは、香ばしさと苦味が持ち味の深煎り、「ダークテイスト」です。4:6メソッドについてはこれまでにも何本か書いてきましたが、苦味もあるこの一杯で、私は何を甘いと感じているのでしょうか。 深煎りならではの香ばしさなのか。酸味の出方が違うのか。それとも、4:6メソッドの注ぎ分けで、同じ豆の甘さが分かりやすくなるのでしょうか。

調べてみて、いちばんしっくりきたのは、深煎りの香ばしさが甘さを連想させて、その香りを酸味や苦味の中から拾っているという見方です。4:6メソッドの注ぎ分けは、その釣り合いを変えるかもしれません。私が感じる「甘い」がどこから来るのか、ひと口の中で起きていることから考えてみます。

私が「甘い」と言っているのは、一杯のどの部分なのか

砂糖を溶かした水を飲むと、口に入れたところで甘さが分かります。コーヒーでは、ひと口目は苦かったのに、飲み込んでから甘い印象が残ることがあります。同じ「甘い」という言葉でも、前者では舌で感じた味を、後者では香りや余韻まで含めた印象を言い表しています。コーヒーの感想を一語でまとめると、この二つは見分けにくくなります。

分かりやすいのは、ひとかけのビターチョコレートです。苦味を感じながらも、口の中に広がる香りには、甘いお菓子を思い出させるところがあります。砂糖の量を知らなくても、香りから甘さを連想できます。コーヒーでも、焙煎の香りがチョコレートやカラメルを思わせると、その香りまで含めて「甘い」と表現することがあります。

ブラックコーヒーを入れた茶色いカップと、皿に載せたビターチョコレート

しかも、香りは飲む前にカップへ鼻を近づけたときだけのものではありません。口に含んだコーヒーから立つ香りも、のどの奥から鼻へ抜けてきます。口に入れた直後の苦味と、あとから鼻に抜ける甘い香りが重なるので、一杯を飲み終えた印象にはどちらも残ります。苦味を感じた事実と、「甘い一杯だった」という感想は、同じひと口の中に収まります。

「コクがある」と「甘い」も、分けておくと自分の感想を説明しやすくなります。たとえば口当たりに厚みがあり、飲み込んだあとまで味が長く続くと、ひとまとめにして濃厚な甘さと呼びたくなることがあります。そこで、舌に残った味が苦いのか、鼻へ抜けた香りを甘いと感じたのかを分けてみます。そうすると「しっかり濃いから好き」と「苦味のあとに残る甘い香りが好き」という、次に選びたい豆が変わるくらいの違いが見えてきます。

そこで、私がダークテイストの甘さを考えるときは、ひと口目の味、鼻に抜ける香り、飲み込んだあとの余韻を分けます。「口に入れたときは苦く、飲み込んだあとに香ばしい甘さを感じる」なら香りに注目できます。「最初から味が丸く感じる」なら、酸味や苦味の強さにも目を向けられます。どちらに近いかで、同じ豆でも次に試したい淹れ方が変わります。

深く煎ると、豆の糖はどうなる?

コーヒーの生豆には、砂糖の主成分でもあるショ糖が含まれています。このショ糖は焙煎の熱で分解され、焙煎前より大きく減ります。たとえば、同じブラジル産の豆を中煎りと、そこから一段深いフルシティに仕上げて測った例では、どちらも生豆のショ糖の96〜98%が失われています。無印のブレンドとは別の豆を使った実測値ですが、豆の色が濃くなる間にショ糖がどれほど減りうるかの目安になります。

ここで切り分けたいのは、豆にどれだけ糖が含まれているかと、カップに落ちた液を飲んでどれだけ甘く感じるかです。焙煎した豆に残った量から、飲んだときの印象までは決まりません。たとえば生豆の成分を調べてショ糖が多かったとしても、焙煎中に量が変わり、さらに淹れるとお湯に溶け出す分だけがカップに入ります。その先で、香りや別の味も一緒に感じます。

ドリップ中の液を前半と後半に分けると、この違いが見えやすくなります。時間ごとに別の容器で受けた液を飲み比べると、初めのほうでは苦味や酸味が目立ち、あとから落ちたほうが甘く感じられる場合があります。しかも、その比較で測った単糖類は、人が甘い味として感じ取れるほどの濃さに届いていませんでした。味の強い成分が減ると、相対的に香りや穏やかな味の印象を拾いやすくなります。

この比較で面白いのは、甘く評価された後半の液のほうが、溶け出した成分全体の濃さは低かったことです。濃い液にある味をひとつ足したのではなく、味全体が弱まって甘い印象を拾いやすくなった可能性があります。味の濃いものを口にした直後より、少し落ち着いてから残り香に気づくことがあるのと似ています。「甘さをもっと引き出す」と聞くと足し算を想像しますが、私には何が甘い印象を隠しているかを考えるほうが、この結果を飲み込めました。

家でドリップすると、最初に落ちた液と最後に落ちた液は、ふつう一つのサーバーに入ります。カップの味は、その混ざった結果です。甘いと感じたときに、すぐに「甘い成分がたくさん出た」と考えるより、「苦味と酸味がどんな強さで、その奥からどんな香りが出てきたか」と捉えるほうが、次の一杯を淹れるときに手がかりになります。濃く淹れれば香りも強く感じられそうですが、苦味が先に立つこともあるからです。

砂糖の甘さと風味の甘さを分けると、「ダークテイストが甘い」という自分の感想を、豆の成分表だけに結びつけずに考えられます。私が知りたかったのは、甘い味が強い豆の順位よりも、苦味もあるのに、なぜその一杯を甘いと覚えているのかということです。その答えに近づくには、香りと、ほかの味の出方を見たほうがよさそうです。

木の台に広げた深煎りのコーヒー豆と麻袋

ダークテイストで甘さを拾いやすい理由を考える

ダークテイストで私が感じる甘さは、深煎りの香ばしさが、酸味や苦味の中でどう残るかで説明できそうです。ひと口を振り返るとき、手がかりになるのはこの三つです。

香り
カラメルやチョコレートを思わせる香ばしさが、甘さを連想させる。
酸味
酸味が穏やかなら、飲み込んだあとの香りに注意が向きやすい。
苦味
苦味が先に来ても、そのあとに香りが残れば、甘い印象は残る。

苦味のあとに残る香りを確かめる

同じ香ばしさでも、焦がしたパンを思い浮かべるときと、カラメルを思い浮かべるときでは、甘さの印象が違います。口に含んだ直後に苦味が来ても、飲み込んだあとに甘い食べ物を思わせる香りが残れば、最後に覚えているのはそちらかもしれません。

次に飲むときは、一杯をまとめて評価する前に、順番に印象を拾ってみます。

  1. 飲む前 カップの香りだけで甘さを連想するか。
  2. 口に含んだとき 先に意識するのは酸味か、苦味か。
  3. 飲み込んだあと 鼻からゆっくり息を吐くと、どんな香りが残るか。

焦がしたパンに近いと思ったら、そのまま言葉にします。チョコレートに似ているかを探すより、自分が甘いと思ったのはどの瞬間かを覚えておくほうが、次の一杯と比べるときに役立ちます。

カップの香りと、飲み込んだあとの香りは別々に見ます。 立ちのぼる香りは香ばしくても、甘いと思うのは口にしたあとかもしれません。逆に、飲む前から甘い香りを感じて、ひと口飲むと苦味の印象のほうが強くなることもあります。この二つを分けておくと、甘さを感じた場面を思い出しやすくなります。

酸味と苦味で、余韻の目立ち方が変わる

同じ柑橘でも、「甘酸っぱい」と思うときもあれば、酸っぱさがまず気になるときもあります。コーヒーでも、口に含んだ瞬間に意識する味で、余韻の印象が変わります。

  • 酸味が先に来る一杯では、果物を思わせる甘酸っぱさが出ることも、酸味が印象に残ることもあります。同じ豆を焙煎し分けた比較では、浅煎りのほうが酸味を強く感じた例があります。
  • 苦味が長く残る一杯では、酸味が穏やかでも、苦味のほうに意識が向きます。苦味のあとに香ばしい余韻を感じられるくらいの釣り合いが、私にとっての甘さにつながるのかもしれません。

ダークテイストで酸味が前に出にくいと感じるなら、その分、飲み込んだあとの香りに気づきやすそうです。豆を煎る間には減る酸と新しく生じる酸があるので、ここでいう「穏やか」は、飲んでどう感じるかの話です。

果物を思わせる甘さと、深煎りの香ばしい甘さでは、気づくきっかけも違います。私がこの豆を甘いと覚えている理由を探すなら、香ばしさがどんな酸味や苦味の中で残ったかを見たいところです。

香りの強さと、香りの目立ち方も分けて考えられます。 同じくらい香ばしくても、ひと口目から酸味が前に出ると、その香ばしさは後ろに回ります。逆に苦味が先に来ても早く落ち着くなら、飲み終えてから香りに気づく余地があります。一杯の中で味が移っていく順番も、甘さの印象を考える材料です。

「甘い」と「もう一杯飲みたい」を分ける

片方に甘い香りがあっても、もう片方のほうが飲み飽きないことがあります。飲み比べでは、次の二つに答えてみます。

甘さのメモ
どちらに
甘い香りが残った?
例 口にした直後は似ていたが、片方は飲んだあとに甘い香りが残った。
好みのメモ
次に淹れるなら
どちらを選ぶ?
例 甘い香りはもう片方にもあったが、次は苦味が早めに引くほうを選ぶ。
感想が食い違ったとき、聞いてみたいこと

同じ一杯でも、相手が「苦い」と言い、自分が「甘い」と思うかもしれません。相手はひと口目、自分は飲み込んだあとの話をしているなら、その違いを聞くだけで一杯の味が具体的になります。

甘さをどちらに感じたかと、次もどちらを淹れたいかを別々に答えると、好みを再現する手がかりになります。次の一杯で再現したいのが甘い香りなのか、苦味の残り方なのかを判断できます。

苦味が強いときは、まず同じ一杯で濃さを比べる

淹れたコーヒーを少し取り分ければ、次の3ステップで試せます。

01
同じ液を2杯に
一つのサーバーから、少量ずつ取り分ける。
02
片方にお湯を足す
もう片方は、そのまま比較用にする。
03
温度を近づけて飲む
苦味と香りが、それぞれどう変わったかを見る。
甘い香りが見つかった
苦味が落ち着いたなら、次の一杯でも濃さを調整してみる。
香りまでぼやけた
濃さを保ち、次は湯温か挽き目を一つずつ変えてみる。
お湯を足すと、何が変わる?

濃さは、カップの液に溶け込んだ成分の割合です。抽出は、粉から湯へどれだけ成分が出たかという見方です。粉から十分に成分が出た一杯でも、カップに入る湯が多ければ濃さは下がります。

淹れ終えたコーヒーに少しお湯を足すと、カップの濃さは下がります。ドリッパーを外したあとですから、粉から出た成分の量は同じです。お湯を足して温度が上がったら、元のコーヒーと温度が近くなってから比べます。

湯温や挽き目を変えると、粉から出る成分の量や釣り合いも変わります。濃い味で飲みたいときと、香ばしい余韻を拾いたいときとで、どこを調整するかが違ってきます。

苦味の強さと香りの強さは一緒に動くこともあります。薄めた一杯で苦味だけが気にならなくなったのか、香ばしさまで弱くなったのかを別々に見ると、元の一杯のどこを残したいのかがはっきりします。

ミディアムとダークは、豆の組み合わせも違う

どちらもブラジル産の豆を使っていますが、一緒に合わせる豆と、紹介されている味の特徴が違います。

ミディアムテイストダークテイスト
合わせる豆
ブラジル
エチオピア
グアテマラ
合わせる豆
ブラジル
インドネシア
味の特徴
甘い香り
苦味と酸味のバランス
味の特徴
深煎りの香ばしさ
キレのよい苦味

注ぎ方で何が変わるかを見たい今回は、同じ袋のダークテイストで、最初の2投だけを変えて比べます。

ミディアムと飲み比べるときの見方

飲み比べれば、どちらの甘さが自分に分かりやすいかは見えてきます。ただ、その味の差には焙煎の深さとブレンドの両方が関わり得ます。焙煎の違いを見たいなら同じ生豆を違う深さに煎った組み合わせ、注ぎ方の違いを見たいなら同じ袋の豆が向いています。

別々の銘柄を同じ日に淹れるときも、開封からの日数や挽き方が違えば、香りやお湯の落ち方に差が出ます。「どちらを買いたいか」を知るなら手持ちの条件で十分ですが、注ぎ方で何が変わるかを知るには、まず比較する一つの条件を決めます。

ダークテイストに続いてミディアムでも同じ配分を試せば、どの豆でも同じ注ぎ方が好みに合うのか、ダークテイストのときに甘さを感じやすいのかを見比べられます。

両方の豆で同じ配分にすると甘く感じるなら、その注ぎ方で出る味が自分の好みに合うのかもしれません。ダークテイストでは均等に注いでも甘く、ミディアムでは配分で印象が動くなら、豆ごとに甘さが見えやすい条件があると考えられます。

4:6メソッドの「甘さ寄り」をどう受け取るか

粕谷哲さんの4:6メソッドでは、お湯の総量を前半40%と後半60%に分けます。前半の40%は2回で注ぎ、その配分で甘さと酸味のバランスを調整します。後半の60%は注ぐ回数で濃さを調整する部分です。300mLなら、前半の合計は120mL、後半は180mLです。この二つを分けると、何を調整したときの違いなのかを追いやすくなります。

甘さ寄りにする場合は、前半の1投目を少なめにして、2投目にその分を回します。300mLの例なら、50mLと70mLです。均等に注ぐ場合は60mLと60mL。どちらも2投が終わった時点で120mLになります。1投目で豆が受ける湯量と、次に足す湯量が違うので、合計が同じでも粉とお湯の触れ方は変わります。

ここでの「甘さ寄り」は、仕上がりの味を調整するときの方向です。前半と後半を合わせて淹れた一杯の中で、酸味や香りの印象がどう変わったかを見ます。1投目を小さくした結果、自分が甘いと思う余韻が出やすいなら、その豆で試す価値のある配分です。

前半と後半の液を分けたときに後半が甘く評価された話から、「後半にもっと湯を使えば甘くなるのか」とも考えられます。液を時間ごとに分けて味を測る実験と、途中の湯量を変えて一杯を淹れる操作では、比べているものが違います。湯を後半に回すと、後半に落ちる液の量に加えて、前半に粉と湯が触れる条件も変わります。家庭で試すなら、まず前半の合計と後半の合計を揃えた上で、1投目と2投目の配分だけを動かすと、変化のきっかけを追いやすくなります。

実際に注ぐと、1投目の50mLと60mLの違いには、数字のほかに粉全体がどれくらい濡れたかも表れます。片方だけ大きな乾いた部分が残れば、そこに後からお湯が触れることになります。比べるときは、毎回なるべく粉全体にお湯が回るように注ぎます。片方でドリッパーを大きく揺すったり、片方でだけ強い勢いで注いだりすると、お湯の配分と一緒に混ざり方も変わります。湯量以外の動作を揃えると、比べたい違いが見えやすくなります。

私の疑問に引きつけると、ダークテイストの香ばしさは豆を選んだ時点で決まる部分があり、前半2投の配分は淹れるたびに動かせる部分です。同じ豆で配分を変えても甘い印象が共通して残るなら、まず豆の風味や、両方に共通する抽出条件に目を向けます。配分を変えたときにだけ酸味の出方や余韻が違って感じられるなら、注ぎ方が関係するという見方ができます。

後半の注ぎ方も同時に変えると、濃さや苦味まで動いてしまい、前半の配分の差を捉えにくくなります。比較する日には、後半を60mLずつの3回に揃えます。豆を買い足す前に、手元のダークテイストで「どちらの配分でも甘いか」を確かめるほうが、今回の疑問には直接答えが返ってきます。

同じダークテイストで、最初の2投だけを変えてみる

用意するのは、同じ袋のダークテイスト、同じ水とフィルター、できれば形と厚さの近いカップ2つです。粗挽きの豆20gに総湯量300mLを一つの基準にします。豆の量を減らす場合も、まずは両方で同じ量にしてください。粉にするタイミング、ドリッパーを温めるかどうか、湯を注ぐ速さも、できる範囲で揃えます。

スケールを使うなら、湯量のmLを同じ数値のgに置き換えると、家庭での比較の目安になります。図の棒は各回で足す量を示しています。どちらも前半2投で120g、後半3投で180gです。

最初の2投を比べる 左から1投目〜5投目(g)

甘さ寄り

50 70 60 60 60

均等

60 60 60 60 60

前半2投 120g(40%)+ 後半3投 180g(60%)

スケールを途中でゼロに戻さない場合は、甘さ寄りの1投目で50g、均等なら60gまで注ぎます。2投目からは両方とも、表示が120g、180g、240g、300gになるところで止めます。

注ぐタイミングの目安は、開始直後、0:45、1:30、2:10、2:40。3:30でドリッパーを外します。粕谷さんの公開レシピでは92℃のお湯を使っています。深煎りに合わせた当サイトのタイマー設定から始めるなら、83℃が目安です。今回はどちらの湯温を選んでも、途中で変えずに両方の一杯を同じ温度で淹れます。器具によって落ちる速さは変わるので、毎回の秒数を完璧に合わせるより、比較する2杯で手順を揃えることを優先します。

専用タイマーを使うなら、豆と湯量を揃えたまま、「甘み」と「バランス」を切り替えると配分を比べられます。表示される累計を見ながら注げるので、2投目の時点で両方が同じ湯量に着地したかも確かめられます。4:6メソッド専用タイマー

湯量と湯温を揃える道具

この飲み比べでは、特に1投目の50gと60gを計り分けたいところです。温度も揃えたい場合は、1杯目と2杯目で同じ設定に戻せると試しやすくなります。

飲む温度を揃えて、甘さを感じた瞬間を探す

横に並べた2杯のブラックコーヒーと、皿に盛ったコーヒー豆

1杯ずつ淹れると、先に淹れたほうが冷めています。熱い一杯と冷めた一杯をすぐ飲み比べると、注ぎ方の差に温度の差が重なります。サーバーから同じくらいの量をカップに取り、両方を無理なく飲める近い温度にしてから、少量ずつ交互に飲みます。余裕があれば、少し時間を置いたあとにもう一度比べると、その日の比較で温度がどう関係したかにも気づけます。

見る順番は、ひと口目に酸味や苦味のどちらが先に来るか、飲み込んだあとにどんな香りが残るか、最後にその余韻を甘いと呼びたくなるか、です。「Aのほうが甘い」で終わると、次に淹れたときに何を再現すればいいか分かりません。「最初の味は似ていたけれど、Aのほうが飲んだあとに香ばしさが残った」と書けば、どこで甘いと判断したかが分かります。

先に「甘さ寄り」と知っていると、ついその一杯に甘さを探してしまいます。誰かと一緒に飲むなら、どちらか分からないようにカップを入れ替えてもらうと比べやすくなります。一人なら、二度目は先に淹れる順番と飲む順番を逆にするだけでも、いつも同じほうが好みかを見直せます。違いが小さければ、「どちらも甘く感じた」「今日は差がよく分からなかった」と残すのも、次の比較に使える結果です。

比べた結果から、次の一杯で動かす条件を選ぶ

甘さ寄りで酸味の印象が少し引き、飲み込んだあとの香りが甘く感じられるなら、注ぎ方と甘さの関係を考える手がかりになります。最初の2投を変えても共通して甘い印象があるなら、次は湯温や濃さをいじる前に、その香ばしい余韻を覚えておきます。別の豆を淹れたとき、同じような余韻があるかを比べられるからです。

両方とも苦味が長く残って甘さを拾いにくいときは、淹れた液の一部だけに少量のお湯を足し、元の液と飲み比べる方法もあります。これなら抽出をやり直さず、同じ液で濃さを下げたときの印象を見られます。湯で割ったほうに甘い印象を感じたら、次は最初の2投よりも濃さを調整するほうが、自分の好みに近づくかもしれません。

逆に、どちらも味がぼやけて香りを拾いにくかった場合は、注ぎ分けの結論を出す前に、普段おいしいと感じる湯温と挽き目に戻します。そこで同じ比較をすると、最初に気になった「この豆の甘さ」に近い状態から試せます。4:6メソッドそのものを初めて試す場合は、器具や計り方をまとめた前の記事も参考にできます。関連記事「4:6メソッドを家で再現する」

次にダークテイストを飲むとき、確かめたいこと

私が次に確かめたいのは、「甘い」という感想が、ひと口目に出てくるのか、苦味が落ち着いたあとの余韻に出てくるのかです。後から来る香りが甘いなら、深煎りの香ばしさと苦味があっても、私がこの豆を甘いと覚えている理由が見えてきます。最初の2投を変えたときに印象が動くなら、4:6メソッドがその甘さを感じ取りやすくする条件も探れます。

無印のダークテイストを甘く感じる、という自分の感想を出発点にすると、同じ「甘い」でも何を指しているのかが気になってきました。次の一杯は、飲み込んでから鼻に抜ける香りまで、少しだけ待ってみようと思います。

参考