普段はプログラミングを趣味にしている人間ですが、家でハンドドリップコーヒーを淹れるときに毎回スマホでストップウォッチを操作するのが地味に面倒で、専用の「コーヒータイマー」というツールを作りました。粕谷哲さんの「4:6メソッド」という抽出理論に特化したタイマーです。
せっかくなので、4:6メソッドがどういう理論なのかと、実際に再現するために最低限揃えたい道具を6つだけ紹介します。高い道具を無理に揃える必要はありません。
4:6メソッドとは
「4:6メソッド」は、バリスタの世界大会「World Brewers Cup 2016」で優勝した粕谷哲さんが考案したハンドドリップの抽出理論です。難しい理屈を覚えなくても、お湯の「量」と「回数」を決まった通りに注ぐだけで、味のブレが少ないコーヒーを淹れられるのが特徴です。
まずはこちらの、粕谷哲さん本人による解説動画を観てから読み進めることを強くおすすめします。理屈だけでなく、実際の手の動きまで確認できます。というか他人のまとめなんか見るよりまずは本家を見てください。←
メソッドとか言われるとめんどくさそうですが、全然めんどくさくないです。めっちゃ簡単にいつものコーヒーが美味しくなります!!!
基本は豆と水の比率1:15
まず豆の量に対してお湯は15倍が基本です。豆20gなら300ml、豆15gなら225mlという具合です。この比率さえ守れば、味の濃さの基準がブレません。
挽き目は中粗挽き〜粗挽きが基本
4:6メソッドは、前半・後半あわせて5投に分けてゆっくりお湯を通す抽出方法なので、挽き目は中粗挽き〜粗挽きが基本です。ここを細かく挽きすぎると、湯が抽出層を通過する時間が長くなりすぎて、過抽出で雑味が出やすくなります。深煎りの豆はもともと濃く出やすいので、後半の投数を1回減らして少し薄めに仕上げると、バランスが取りやすくなります。
手挽きミルを使う場合の参考として、定番のコマンダンテとタイムモアのクリック数目安をまとめました。
| 挽き目の目安 | コマンダンテ C40 | タイムモア C3 / C3S |
|---|---|---|
| エスプレッソ寄り(細挽き) | 4〜16クリック | 7〜8クリック |
| ハンドドリップ(中細〜中挽き) | 18〜26クリック | 13〜16クリック |
| フレンチプレス(粗挽き・参考) | 31クリック前後 | 17〜20クリック |
4:6メソッドは中粗挽き〜粗挽きが基本なので、上表のハンドドリップの範囲のなかでも粗め側(コマンダンテなら24〜26クリック前後、タイムモアなら15〜16クリック前後)を起点にするのがおすすめです。クリック数の基準はミルの個体差や豆の状態でも変わるので、あくまで淹れ始めの目安として捉え、実際に飲みながら微調整してください。
前半40%で「味のバランス」を決める
全体のお湯のうち、最初の40%を2回に分けて注ぎます。この前半の配分で、酸味と甘みのバランスが決まります。1投目を少なめにすると甘みが強く、多めにすると酸味(明るさ)が強くなる、という調整ができます。
後半60%で「濃さ」を決める
残り60%のお湯を、1〜3回に分けて注ぎます。ここでの注ぐ回数が濃さを左右し、回数が多いほど濃く、少ないほど薄くなります。標準レシピは3投で、前半の2投とあわせて合計5投、お湯を注ぎ切るまでおよそ3分30秒が目安です。まずはこの標準で淹れてみて、薄めが好みなら2投・1投と減らして調整するのがおすすめです。
注湯量の早見表(豆20g・湯300mlの場合)
| ベーシック | より甘く | より明るく | |
|---|---|---|---|
| 1投目(蒸らし) | 60ml | 50ml | 70ml |
| 2投目 | 60ml | 70ml | 50ml |
1投目を少なめにすると甘みが強く、多めにすると酸味(明るさ)が強くなります。
| 薄く | より濃く | さらに濃く | |
|---|---|---|---|
| 3投目 | 180ml1回で注ぐ | 90ml | 60ml |
| 4投目 | 90ml | 60ml | |
| 5投目 | ― | 60ml |
注ぐ回数が多いほど濃く、少ないほど薄くなります。
この早見表の数字を毎回計算しながら注ぐのは大変なので、実際に淹れるときはコーヒータイマーを使うのがおすすめです。湯量と時間を1つの画面で確認しながら注げるので、表とにらめっこする必要がありません。
コーヒータイマーを作りました
この4:6メソッド、理屈はシンプルですが、実際に淹れるときは「何投目に何ml注ぐか」「次まで何秒か」を毎回計算しながら時計を見るのが地味に大変です。そこで、豆の量と好みの設定を選ぶだけで、注ぐタイミングと量を自動でカウントダウンしてくれるタイマーを作りました。
豆の量と湯量を最初に設定してしまえば、あとは実際にドリップしながらアプリの表示に従ってお湯を注ぐだけです。「何グラムお湯を入れるんだっけ」と計算し直す必要がなく、今何分経過したかも手元でそのまま確認できるので、毎回同じ精度で安定して4:6メソッドを再現できます。
スマホのブラウザで開いて「ホーム画面に追加」しておけば、アプリのように毎回すぐ使えます。ドリップのたびにアプリストアを探す必要はありません。
揃えたい道具は6つだけ
4:6メソッドを再現するために最低限必要な道具は次の6つです。凝り出すとキリがない世界ですが、まずはこれだけあれば十分に本来の味を再現できます。
① ドリッパー
4:6メソッドはHARIO V60を前提に組まれた理論なので、素直にV60を選ぶのが一番失敗がありません。粕谷哲さん本人が使っているのも、このクリアタイプです。
HARIO V60 透過ドリッパー 02 クリア トライタン(Amazon)
② ペーパーフィルター
ドリッパーに合わせたHARIO純正フィルターです。他社製でも代用できますが、サイズだけは必ず合わせてください。
HARIO V60 コーヒーフィルター 02(160枚・Amazon)
③ サーバー
ドリッパーの下に置いて、落ちたコーヒーを受ける容器です。目盛り付きのガラスサーバーを選んでおけば、今どれくらいお湯が落ちたかも一目で確認できます。ドリッパーと同じV60シリーズのものを選んでおけば間違いありません。
HARIO V60 バリスタサーバー 600 クリア(Amazon)
④ グラインダー(コーヒーミル)
4:6メソッドは注湯のコントロールが要なので、挽き目が均一なミルを使うと再現性がぐっと上がります。手挽きで人気のTIMEMORE 栗子C3Sは、価格のわりに挽きムラが少なくおすすめです。
TIMEMORE 栗子C3S 手挽きコーヒーミル(Amazon)
⑤ 測り(スケール)
4:6メソッドは「何投目に何ml」で管理する理論なので、重さを測れるスケールは実質必須です。ただしスケール自体は安いもので十分です。むしろこのコーヒータイマーを使えば、注ぐタイミングも量もアプリ側がすべて教えてくれるので、中途半端にタイマーが付いたスケールを選ぶ必要はなく、シンプルなスケールの方がかえって分かりやすいくらいです。ちなみに高価格帯のスケールが優れているのはタイマー精度ではなく計量の反応速度で、注いだ瞬間の重さにどれだけ速く追従するかという点です。
⑥ 温度がわかるケトル
お湯の温度も味に直結する重要な要素です。注ぐたびに測る手間を考えると、1℃単位で温度設定できる温調ケトルを一つ用意してしまうのが一番確実です。注ぎ口が細いドリップケトルなら、お湯の量とスピードもコントロールしやすくなります。
エペイオス(Epeios) 電気ケトル 細口ドリップ 1℃単位温度調節(Amazon)
まとめ
4:6メソッドは、理論さえ押さえてしまえば道具も最小限で再現できるのが良いところです。注ぐタイミングだけコーヒータイマーに任せてしまえば、あとは豆と好みに合わせて前半・後半の投数を変えるだけ。ぜひ自分好みの一杯を探してみてください。